*終了のお知らせ*

HUG & READプロジェクトは2012年4月末日をもって終了とさせていただきます。
※追記※ プロジェクト終了後も、6月まで送って下さる方が続き、整理してお送りしました。
それを加味した、総お贈り冊数は 15万1180冊 となりました。皆さま誠にありがとうございました。


絵本の力を強く感じながら、心からの感謝をこめて。

2011年3月11日、あの日は、誰にとっても特別な日になりました。
クレヨンハウスでもそうでした。スタッフ誰からともなく「子どもたちのこころ」を
心配し、「子どもたちひとりひとりを抱きしめ(ハグ)たい」「ともに絵本を読み(リード)たい」という声がおきて、「Hug&Read被災地に絵本を送るプロジェクト」ができました。生活支援物資の輸送を優先し、絵本はその後に届けよう! と準備をすすめるうちに、同じように「絵本を贈るプロジェクト」が日本各地にいくつも立ち上がっていることがわかってきました。共感がつながって、うれしさと励みになりました。
日本各地から、そして世界から、絵本がどんどん届きはじめました。
すごい! 日本中が被災地に、被災した子どもたちに心を届けようとしている! 
非情なニュースに胸ふさがれる一方で、多くのひとのやさしさがかたちになって届く毎日。たくさんの絵本を整理しながら、一冊一冊に込められた思いが胸にせまります。感謝のきもちでいっぱいになりました。
2か月、3か月と経つうちに、各地の本を送るプロジェクト閉鎖が伝わってきました。
通常の仕事もあるなかで、被災地に絵本を送るたいへんさがよくわかります。
閉鎖もやむを得ないというより、そこまでやりつづけてくださったことへのきもちはありがたいものでした。
そうしている間にも、クレヨンハウスには絵本が次々と届きました。驚くのは、届く絵本がきれいなことです。いらない絵本を送ってくるというより、「大好きだった絵本」を手渡したい、という心情に溢れていることです。被災地への手紙や絵手紙も同封されていました。
そうした送り手のきもちを、そのままお届けすることに腐心しながら、送り先を探すのも簡単ではありませんでした。どこに子どもたちがいるか? なかなかわからないのです。
贈られたみなさんも、復興に懸命のはずです。絵本を仕分けることが負担になってはいけない、と考えながら、お届け先を探しました。避難所があるうちは、まだ連絡先がはっきりしていましたが、仮設住宅や借り上げ住宅、自宅へ戻るようになると、子どもの居場所がわかりにくくなってしまうのです。このような新たな課題が生まれるとは、思ってもみませんでした。
あたらしい年、2012年になって、2月末日時点で
Hug&Read開始以来、わたしたちは(のべ220名のスタッフが)45回仕分け発送し、569か所へ13万2430冊の絵本をお届けすることができました。
お贈りいただいた方は3099名、絵本13万8510冊です。ありがとうございました!

あの日から1年が経ちました。みなさんも、あの日からはじめたこと、やめたこと、さまざまだと思います。また、ひととつながる「わたし」を、一生懸命やってきた1年ではなかったでしょうか? 
たった1年で、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を、忘れつつある状況も生まれています。そのことを心配しながら、しかしわたしたちは、このHug&Readの1年を、ひとまずの区切りにしたいと思います。絵本の贈呈が、被災した東日本7087書店(日本出版取次協会調べ)の復興を阻害しないだろうか、という問題も検討した結果です。
被災地の復興はいまだ遠しの観です。少しでも早く、なかでも子どもたちのこころの快復を祈念してやみません。Hug&Readは絵本の力を強く感じさせてくれた1年でした。
みなさま、長い間、ありがとうございました。こころから感謝して、Hug&Readの終了をお伝えさせていただきます。
もちろん、被災されたかたがたへの想いは、今後もしっかりと胸に刻んで。    

2012年3月 

クレヨンハウス
子どもの文化普及協会
   主宰 落合恵子